オフトレイルという考え方
「オフ・トレイル」とは、痕跡、通り道、小道という意味を表す”トレイル(trail)”に”オフ(Off)”が付くので「道なき道」、「痕跡なき道」という意味になります。道なき道を行くのがオフ・トレイル トレッキングです。
「オフ・トレイル」とはいっても、実際には林業者、地主、あるいは地元の猟師などその地域で暮らしている人たちが活動してきた場所ですから、まったく人の痕跡がない場所をみつけるのは困難です。時にはまったく人の痕跡を感じない場所に巡り会うこともありますが、それはきっと、自然を大切に思う人たちによってその場所が守られてきたからでしょう。
そうした場所を自分の痕跡をできる限り残さないように利用させてもらうこと、これがオフ・トレイル トレッキングの醍醐味で”ローインパクト”と呼ばれています。自然の中に入り込む限りは何らかのインパクトを与えることになりますが、それを極力小さくしようという考え方です。
”ローインパクト”は自然の中にあるさまざまな”いのち”に対する配慮によって成り立ちます。人もまた、自然の中の一部として自然界からの配慮を受けて生かされています。こうした相互関係を理解しようと努める姿勢が”ローインパクト”という形で実践されてきました。
「オフ・トレイル」は”ローインパクト”なアプローチを通じて自然の営みと自然との相互関係を理解し維持しようという試みのひとつです。
また、自然の中にじっくりと身を委ねていると、人の感覚は研ぎ澄まされていきます。その感覚には、肌で感じるもの、耳で聞くもの、目で見るもの、鼻で嗅ぐもの、舌で味わうものといった五感のほかにも第六感と呼ばれる感覚が含まれます。
さらにまた、刻一刻と状況が変化する自然の中で過ごしたという経験は、自分自身に対する自信へと繋がっていきます。今まで気がついていなかった感覚や生きることへの強い自信を得ることは、生き方そのものへの変容をもたらしてくれるものであることは間違いありません。
時に、こうした感覚の目覚めは、実生活との間に相違を生み出すことがあります。実生活が便利である反面、自分に蘇ってきた感覚では当てはまらないことがたくさん出てくることがあるからです。
文明社会の中で学んだことが自然の中では通用しないということはいくらでもありますが、自然の中で学んだことは必ず実生活で活かされます。それは自然に触れていなければ分かり得ない世界です。
「オフ・トレイル」には人を覚醒させてくれる何かがあるのです。
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